平成二十六年 書き初め大会
春の一月五日、恒例の書き初め大会が催された。書き初めを始めたのが平成十四年であるから、今年で十二回を数える。その年々の思いを筆に託すことは、大いに意味がある。今後も続けたい初場所前の行事である。
今年もまず親方が最初に筆をとり、「塞翁が馬」と一気に書き上げた。勢いのある字で、ことに「馬」の字は躍動感に満ちあふれている。日常のやるべきことをしっかりやっていれば、あとはドンとかまえて天命を待つような泰然自若とした心境が大切である、との意味であろうか。
大道関は「稽古」と書いた。初心に返りしっかりした稽古を心がけようとの意気込みである。若荒雄関は「やるぞ」と書いた。毎年ユニークな言葉が出るのだが、今回はかなり本気である。
以下各力士は「力士名鑑」に掲げたように、各自の今年にかける意気込みを筆に託した。
また見学に来ていた、骨髄移植をして頑張っている有馬瑞希君は「ありがとう」という感謝の気持ちを堂々と書き上げた。ドナーとなった妹の杏依さんや家族、その他多くの方々への心からのメッセージである。瑞希君を部屋に誘った、自ら同じ病気を克服した女子プロゴルファー中溝裕子さんは、「百万馬力」と力強く書いた。瑞希君達の頼もしい応援団である。
おかみさんは「共に歩む」と書いた。おかみさんの書き初めはいつも阿武松部屋という家族を、暖かく、そして力強く支えるような、心のこもった言葉である。
親方の各力士への舌鋒鋭い講評も恒例で、チャンコをつつきながら笑いの中で和気あいあいの書き初め大会であった。